How Bluetooth Mesh and DALI
Form a Digital Highway for Lighting
Control and Data CollectionBluetooth MeshとDALIが形成する 照明制御とデータ収集の高速データ通信網

Bluetooth^®︎技術とDALI^®︎には長年にわたって連携してきた歴史があります。この2つの標準規格の普及が拡大しつつある今、両者に関する基本的な事項と、どのような設計のもと互いに補完し合うかを確認してみましょう。

調光可能な照明器具の話題から始めましょう。「アナログ」的アプローチでは、0-10V調光対応LEDドライバーを使用します。これは、光を発するLEDに精密に制御された電流を供給する、専用の電源装置です。照明は電流量が多いほど明るくなります。調光機能は0Vから10Vの電気信号によって制御され、照明器具は0Vでは消灯し、10Vで最も明るくなります。

DALIの基本機能にも同様のものがあります。この場合はLEDドライバーなどの制御装置にコマンドを送信し、それに基づいて制御装置が光源に電力を供給します。ただし、DALIの場合はこれが「デジタル」に行われ、出力レベルはデジタルコマンドによってドライバーに指示されます。このため、DALIではドライバーへのコマンド送信用デバイス（アプリケーションコントローラ）を使用します。

コマンドでは、ドライバーに対し「0にせよ」（消灯）または「フル出力せよ」（LEDへの供給電力を最大にする）、あるいは「30%減光せよ」などその間にある何らかの値の指示が可能です。LEDドライバーなどの制御装置に対する制御コマンドは、DALI Part 102仕様において規定されています（DALI規格はさまざまな機能を豊富に用意しており、それらは「Part」としてまとめられています）。

DALIの世界では、アプリケーションコントローラとLEDドライバーはDALIバスでつながっています。これは、一対の一般的な配線によって構成される電気的なバスです。極性がないため、コントローラとドライバー間はどのように結線してもかまいません。

1つのDALIバスに複数の装置を接続することも可能です。ドライバーの場合、1つのバスに最大64台まで接続できます。DALIは有線のスイッチやセンサーにも対応しており、これらを同じDALIバスに追加できます。アプリケーションコントローラがスイッチやセンサーからの入力を受け取り、それに基づいて判断を下し、適切なコマンドをドライバーに送信するのです。

ワイヤレスのネットワーク照明制御（NLC）の台頭により、（DALIなどの）有線の制御バスを使用せずに照明器具を制御したほうがより高い実用性を発揮する場面が増えています。特にBluetooth^®︎ meshは、照明制御に非常に優れ、単一障害点のない極めて堅固な分散アーキテクチャにより、スイッチ、センサー、照明器具にネイティブ対応しています。

DALIをBluetooth meshと組み合わせるメリットや特徴とは？

DALIが目下重点を置くのは、「照明器具内ネットワーク」への取り組みです。これは名前が示す通り、照明器具の内部に構成されるネットワークです。このネットワークはドライバーとコントローラの2台のデバイスから成るシンプルな構成も可能で、これをBluetooth meshのノードとすることもできます。この場合コントローラはBluetoothの照明モデルを実装し、ネットワークでは調光可能な照明器具として認識されます。コントローラは明るさのレベルを制御するためのBluetoothメッセージを受信し、明るさは0から65535（フル出力）の間で任意に設定できます。メッセージを受け取ったコントローラはDALIコマンドをドライバーに向けて送信し、ドライバーはコマンドに従いLEDを調光します。

DALI Allianceでは、照明器具内ネットワーク要件に適合する機能群を備えたデバイス向けのD4i認証を導入しました。D4iの優れた特徴は、バスを介した電力供給が可能な点にあります。すなわち、DALIバスの電流から十分な電力供給が得られれば、Bluetooth^®︎ノードに専用電源を別途用意する必要がないのです。これによりセットアップは極めてシンプルになります。D4i認証ドライバーを、DALIアプリケーションコントローラを含むBluetoothノードと配線2本を使って接続すれば、完了です。

照明器具内ネットワークが2つ以上のDALIデバイスを含む場合もあります。例えば、大規模な照明器具ではドライバーが複数ある可能性があります。すべてのドライバーは、DALIアプリケーションコントローラとしても機能するBluetoothノードと同じDALIバスを共有して接続されます。

従来の0-10V制御線に代わりDALIバスを使用する理由とは

利点のひとつ目は先述した通り、Bluetooth^®︎ノードがDALIバスから電力を直接得られるため、より少ない配線で済むことです。

利点の二つ目は、DALI通信がデジタルであることに由来します。すなわち、ドライバーの制御がより精密に行えるのです。これはデジタルのものすべてに共通して言えることで、CDがアナログのカセットテープ（ご記憶でしょうか？）に比べオーディオをはるかに精密に保存できるのと同様です。そのためBluetooth meshのノードがDALIを使用する場合、照明を精密に制御できます。これは特に暗い照明の場合に顕著です。DALIドライバーでは暗い照明をさらに精密に細かく減光でき、明るさを非常に低いレベルまで落としながら、徐々に消灯できます。

利点の三つ目は、DALIの双方向通信システムです。Bluetooth meshのノードは、接続されたDALIドライバーからさまざまなデータポイントを取り込めます。Bluetooth meshネットワークで取得し報告できるデータには、特にメンテナンスや電力消費に関するレポートなど、関心を引く情報が多くあります。DALIドライバーは、稼働時間、温度、異常（過少電圧、過電圧）など数多くの統計情報について報告します。また、今日では極めて重要な測定情報である電力消費の報告も可能です。Bluetooth meshのノードは、リアルタイムの電力/エネルギーデータをDALIドライバーから取り込みワイヤレスネットワークを介した報告が可能であり、このデータを転用すれば、電力使用の最適化や、法令遵守・電力料金払い戻し制度での電力消費状況の提示に活用できます。

最善の点は、DALIアプリケーションコントローラを実装したBluetooth meshノードの動作が標準化されていることです。これはDALI Part 341で仕様を規定されており、Bluetooth SIG（Special Interest Group）はDALI Allianceと密に連携し、関連する標準規格に準拠したデバイスの認証制度の整備に向けた取り組みを進めています。

これは始まりにすぎません。DALIは非常に充実した規格であり、数多くの機能に関する仕様を定めています。中でも最も興味深いのは、非常用照明器具の運用と検査を扱うDALI Part 202です。Part 202は特に、非常用照明器具の設置場所での定期検査をどのように行うべきかを規定しています。Bluetooth^®︎ meshを使用することにより、電話アプリケーションを利用して検査を指示し、定期的な自動検査の時期を設定できます。Bluetooth meshは、法令に準拠する形で非常用照明器具の検査を編成するための、時間およびスケジュール設定モデルを提供します。検査結果の収集もBluetooth meshネットワークを介して可能なため、手間のかかる文書業務も削減できます。

それぞれ独自に開発された2つの技術が、これほど相互に補完し合う例は実にまれです。Bluetooth meshとDALIは完璧な組み合わせであり、両者は一体となって照明制御とデータ収集のためのエンドツーエンドの高速データ通信網を形成するのです。